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相続登記の義務化はいつから?相続登記の期限や新ルールを解説

相続登記の義務化はいつから

相続登記とは、相続によって不動産(土地や建物)を取得した人が、その不動産を自分の名義に変更するための手続きです。

このたびの法改正によって、これまで任意だった相続登記が、2024年4月1日から義務化されることになりました。

本コラムでは、今回の法改正の内容を、登記の制度がどのように変わるのかという点を中心に、分かりやすく解説していきます。

相続登記の義務化を含む法改正

2024年4月から相続登記が義務化される

2021年4月に行われた法改正により、2024年4月1日から、これまで任意だった相続登記の申請が義務化されることになりました。

これにより、今後は不動産の相続について、原則として3年以内に相続登記を申請すべき義務が生じることになります。

なぜ義務化される?

本来、不動産の所有者の住所・氏名は登記によって公示されていますので、登記簿を確認すれば現在の所有者が誰であるかを知ることができます。

ところが、相続などで所有者に変更があった際にその変更内容を登記せずにいると、登記簿を見ても現在の所有者が誰であるかが分からなくなってしまいます。

相続登記の義務化は、このような登記の更新漏れによって発生する「所有者不明土地」の問題を解消するために講じられた方策です。

メモ
所有者不明土地とは、①不動産登記簿を見ても所有者が誰かすぐに分からない土地、または②所有者が分かっても、その所在が不明で連絡が付かない土地のことです。

2017年の国土交通省の調査によると、所有者不明土地は全国の土地の2割以上(九州より大きな面積と言われています。)を占めており、このことが公共事業や災害からの復旧・復興事業、民間取引など様々な場面で問題となっています。

所有者不明土地が発生する原因のうち、6割以上が相続登記をしていないこと、3割以上が住所変更登記をしていないことによるものとされています。

今回の法改正は、これらの登記の申請を義務化すること等によって、所有者不明土地を解消することを目標としています(後述のとおり、相続登記だけでなく住所変更登記も義務化されます)。

登記に関わる改正のポイント

今回の法改正は、所有者不明土地の解消に向けて様々な方策を盛り込んでいます。

このうち、登記制度に関する主な改正ポイントは次の3点です。

  1. 相続登記の義務化
    相続登記の申請に、原則3年以内の期限を設ける。
  2. それに伴う相続人申告登記の新設
    相続登記の義務を簡易に履行できる制度を新設する。
  3. 住所変更登記の義務化
    住所変更登記の申請に、原則2年以内の期限を設ける。

これら以外にも相続に関連した改正点がありますが(例えば、不要な土地を国に放棄するための制度や、長期間経過後の遺産分割協議に設けられる一定の制限など)、本コラムでは、以下、登記制度の変更点として上記3点について詳しく解説していきます。

相続登記の義務化とは?

法改正によって、相続登記は次のとおり申請が義務化されます。

相続登記の申請は3年以内に

不動産の所有者に相続があった場合、相続によって所有権を取得した人は、相続の開始を知り、かつ、所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

これは、相続人が遺贈(遺言による贈与)によって所有権を取得したときも同様です。

相続人の話し合いがまとまらない場合は?

相続人が2人以上いる場合、相続人は、全員で話し合って、誰が不動産を相続するかを自由に決めることができます(=遺産分割協議)。

遺産分割協議がスムーズに成立すれば、その内容に従って3年以内に相続登記を済ませることができます。

しかし、相続人の話し合いがすぐにまとまらなければ、3年以内に遺産分割に基づく相続登記を申請できないことも考えられます。

このような場合には、相続人が、いったん民法上の法定相続分に応じた持分割合で登記(以下、「法定相続の登記」といいます。)をすることによっても、相続登記の義務を免れることができます。

ただしこの場合、後日、法定相続分とは異なる割合での遺産分割が成立したときは、その成立の日から3年以内に、改めて遺産分割の内容に基づいて登記をし直す必要があります。

また、上記以外に義務を免れる方法として、「相続人申告登記」という制度が今回の法改正により新設されました。詳しくは後述します。

義務を怠ったときの罰則

正当な理由がないにも関わらず、相続登記の申請義務を怠ったときは、10万円以下の過料が科されます。

メモ
過料とは、金銭を徴収される行政上の罰則のことです。刑罰ではありませんが、行政上の義務違反に対する制裁として科されるものです。

相続登記の義務化はいつから?

今回の法律は2021年4月に公布されており、相続登記の義務化に関する部分は2024年4月1日に施行されることになっています。

したがって、相続登記は2024年4月1日から義務化されることになります。

新たな制度「相続人申告登記」とは?

「相続人申告登記」は、相続登記の義務化による相続人の手続き的な負担を軽減するために設けられた新制度です。

相続登記の義務を簡易に履行できる

今回の相続登記の義務化は、相続人の負担を増加させる法改正です。

定められた期限内に相続登記を申請するためには、戸籍などの資料収集をはじめとした事務処理や、早期の遺産分割など、様々なハードルをクリアする必要があるからです。

「相続人申告登記」は、これらの負担を軽減するために、手続きを簡略化した申請義務の履行手段として新設されました。

具体的には、相続人の誰か1人が、相続の開始や自分が相続人であることを法務局に申告し、申告者の住所・氏名などが登記されることで、相続登記の申請義務を履行したものとして認められることになります。

メモ
前述のとおり、遺産分割がすぐにまとまらない場合には、いったん法定相続の登記をすることでも義務を免れることができます。

しかし、法定相続の登記は相続人申告登記とは異なり、あくまで相続登記の一形態なので、一時的な措置としては手間とコストが過大にかかってしまいます。

相続登記が不要になるわけではない

注意が必要なのは、相続人申告登記は、あくまで(遺産分割などに基づく)確定的な権利の登記へのつなぎとなる一時的な措置であるということです。

相続人が所有者として不動産の売却などをするためには、別途遺産分割協議などによって権利を確定させたうえで、その旨の相続登記を申請する必要があります。

なお、相続人申告登記後に遺産分割が成立したときは、その成立から3年以内に遺産分割に基づく登記を申請することが義務付けられています。

相続人申告登記の運用は、相続登記の申請義務化と合わせて、2024年4月1日から開始されます。

住所変更登記も義務化される

前述のとおり、所有者不明土地が発生する大きな要因として、相続登記の未了と並んで、所有権の名義人が住所変更の登記を怠ることが挙げられます。

これは、所有者の最新の住所が登記されないことによって、「所有者が分かっても、その所在が不明で連絡が付かない」状況になってしまうからです。

そこで、今回の法改正では、相続登記だけでなく、所有者の住所の変更登記も義務化されることになりました。

住所変更登記の申請は2年以内に

登記上の所有者の氏名や名称、住所に変更があったときは、その変更があった日から2年以内に住所等の変更登記をしなければなりません。

義務を怠ったときの罰則

正当な理由がないにも関わらず、住所変更登記の申請義務を怠ったときは、5万円以下の過料が科されます。

住所変更登記の義務化はいつから?

今回の法律は2021年4月に公布されており、住所変更登記の義務化に関する部分は、公布から5年以内に施行されることになっています(今後、施行日を定める政令が制定される予定です)。

したがって、遅くとも2026年4月には住所変更登記の申請が義務化されることになります。

義務化前から登記をしていない場合は?

2024年4月1日の義務化前にすでに相続が発生している場合も、施行から3年以内(つまり2027年4月1日まで)に相続登記の申請をしなければならないものとされています。

住所変更登記も同様に、施行後2年以内(遅くとも2028年まで)に登記を申請しなければならないものとされています。

したがって、現在すでに相続や住所変更が発生し、登記をしないで放置している不動産についても、今後登記をすべき期限が到来することになります。

いつかはしなければならない手続きであり、特に相続登記については一定程度時間を要するものですので、なるべく早めに着手するのがよいでしょう。

まとめ

以上、法改正によって今後実施される相続登記の義務化等について解説しました。

相続登記は、相続開始から時間が経つほど権利関係が複雑になるなどして手続きの難易度が上がる傾向にあります。

もし自宅や実家などで相続登記がされていない不動産があるようでしたら、期限が迫ってから慌てることのないよう、できるだけ早めに手続きを済ませることをおすすめします。

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