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【遺言の基礎知識】遺言書を作成するための基本的なルールを解説

遺言書作成のルール

遺言書には、法律によって様々なルールが定められています。

うまく使えば大きなメリットのある遺言制度ですが、ルールを把握したうえで利用しないと、逆にトラブルの原因になってしまうこともあります。

遺言書を書く前に、遺言に関するルールをしっかりと理解しておきましょう。

遺言書でできること(遺言事項)

遺言とは

遺言は、遺言者(遺言書を作成する人)が、自分の死後の財産や親族関係について行う最後の意思表示です。

遺言による意思表示は、遺言者の死亡後に一定の法律効果を生じさせます。

例えば、遺言者が、自分の遺産を引き継がせたい人を遺言書で指定しておけば、その内容は法律で定められた相続分に優先しますので、相続人は原則としてその指定に従わなければなりません。

他にも、相続人の資格を失わせる「廃除」や、遺言による「認知」など、遺言は、周囲に法律上の権利や義務を発生させる強い影響力を持っています。

遺言書でできることは法律で決まっている

遺言は、このように強い力を持つにも関わらず、遺言者の一方的な意思表示(=遺言書を作成すること)のみによって成立しますので、無条件に効力を認めていたのでは、周囲に混乱や争いを生じさせかねません。

そこで、遺言によってできること(「遺言事項」といいます。)は、民法その他の法律によって限定されています。

法的な効力が認められるのは、これらの限定された遺言事項のみであり、遺言事項以外のことを遺言書に書いたとしても法律上の効果はありません。

具体的な遺言事項

相続に関する事項
相続分の指定(自分の遺産を、法定相続分とは異なる割合で相続するように指定すること)や、廃除(相続人の資格を失わせること)など

相続以外の財産に関する事項
遺贈(自分の遺産を相続人でない人に渡すこと)など

親族関係に関する事項
認知(婚姻外にできた子どもを自分の子と認めること)など

その他の事項
遺言執行者の指定(遺言内容を実現する代理人を指定すること)など

遺言をすることができる人(遺言能力)

遺言能力とは

遺言が有効に成立するためには、遺言者が遺言能力を備えている必要があります。

遺言能力とは、自分のする遺言の内容や、その結果生じる法律効果を理解・判断する能力のことです。

この点について、民法は、15歳以上であって、意思能力(自分の行為の結果について合理的な判断をする能力)があれば、遺言をすることができるとしています。

例えば、15歳以上の未成年者は、単独で契約などの法律行為をする能力(行為能力)は認められていませんが、遺言をすることは可能とされています。

一方、高齢で認知症になるなどして意思能力が無くなった人は、有効な遺言書を作成することができません。

なお、意思能力が不十分であるとして成年後見が開始された人(成年被後見人)であっても、意思能力を一時的に回復したときは、医師2名以上が立ち会うことを要件として、遺言をすることができます。

遺言能力に関する紛争の予防

裁判などで遺言の有効性が争われることがありますが、その多くは遺言能力の不存在を理由とするものです。

遺言者の遺言能力について将来問題になる可能性がある場合には、①医師に診断書を作成してもらう、②公正証書遺言を選択し公証人に関与してもらうなどによって、紛争の予防を意識することが重要です。

遺言書の書き方(遺言方式)

代表的な3種類の遺言方式

遺言書の書き方(遺言方式)は民法で厳密に定められており、この方式に従ってなされたときだけ有効な遺言書になります。

遺言は、遺言者の死後に効力が発生する性質上、厳密な方式によって遺言の存在と内容をはっきりさせておかないと、後から偽造・変造される恐れや、遺言者の真意がきちんと伝わらない可能性があるからです。

遺言には、緊急時などに行う特別な方式を別にすると、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類の方式があります。

自筆証書遺言

遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自分自身の手で書き、押印する遺言書です。

ただし、2019年にこの要件が少し緩和され、相続財産の内容は手書きでなくてもよいことになりました。

また、作成した遺言書は、自分の手元で保管しておくのが通常ですが、2020年からは、法務局で遺言書を保管してもらうことができる制度が開始しました。

公正証書遺言

公証人の面前で証人2名以上が立ち会ったうえで、遺言者が、遺言の内容を公証人に伝え、公証人がその内容を公正証書にした遺言書です。

公証人が関与して作成されるうえ、公証役場に保管されますので、紛失や偽造の危険がなく、効力が問題となることも少ない方式です。

秘密証書遺言

遺言者が適宜作成した遺言書を公証役場備え付けの封筒に封印し、公証人と2名以上の証人の前に提出したうえで、「遺言書の存在」を公証人に証明してもらう方式です。

公証人は遺言書の中身には関与しないので、内容を誰にも知られないまま、遺言書の存在のみを証明してもらうことができます。

まとめ

以上、遺言書を作成するうえで知っておくべき基礎知識について解説しました。

遺言書を作成するためには、法律上のルール、自分の財産や身の回りの人間関係のこと、さらに自分が亡くなるまでに起こりうる様々な変化など、非常に多くのことを検討・想定しておく必要があります。

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