抵当権抹消の登記は共有者の1人から申請できる?
- Q.
- 抵当権抹消の登記は共有者の1人から申請できますか?
- A.
- 共有者の1人から申請することができます。
条件なども特にありません。
司法書士に依頼する場合も、共有者の1人だけが委任状を書けば、他の共有者の関与なく登記申請ができます。
抵当権抹消の登記は共有者の1人から申請できる
抵当権抹消の登記申請手続き
住宅ローンなどの借り入れをし、担保として不動産に抵当権設定の登記がされている場合、その債務を完済したときは抵当権抹消の登記が必要です。
抵当権抹消の登記申請手続きは、抵当権設定者(=不動産の所有者)と抵当権者(=銀行等お金を貸した者)が共同で行います。
義務者:抵当権者(=銀行等お金を貸した者)
→権利者と義務者が共同して抵当権抹消の登記申請を行う。
とはいえ、実際には、抵当権者である銀行等は登記の委任状を所有者に渡すことで手続きから離脱し、所有者側で(所有者自身で、または司法書士に依頼して)具体的な申請手続き(申請書への記名押印など)をするケースがほとんどです。
不動産を2人以上で共有している場合
抵当権抹消の登記を申請するにあたり、不動産を2人以上で共有している場合には、その共有者全員が申請人となるのが原則です。
しかし、必ず共有者全員が申請人として関与しなければならないというわけではなく、共有者の1人から登記を申請する(=共有者の1人だけが印鑑を押す)ことも認められています。
司法書士に依頼する場合も、共有者の1人だけが司法書士に委任状を書けば、他の共有者の関与なく登記申請の手続きができます。
共有者の1人から申請できる条件はある?
共有者の1人から抵当権抹消の登記を申請することについて、特に条件はありません。
登記を申請するときに、「他の共有者が申請人にならない理由」の説明を求められることもありません。
例えば、共有者の1人が
・海外に出張していてすぐに押印ができない
・認知症になり施設に入っている
といったやむを得ない事情だけでなく、単に押印をもらうのが面倒、といった理由でも構いません。
なお、共有者の1人が死亡している場合も、他の共有者のみが申請人となることで抵当権抹消の登記申請が可能です。
これに対して、死亡したのが単独の所有者であった場合は、抵当権抹消登記の前提として必ず相続登記をする必要があります。
共有者の1人から申請できないケース
次のようなケースでは、共有者の1人から抵当権抹消の登記を申請することができないので注意が必要です。
・建物はAとBの共有
・土地はAの単独所有
→この場合、土地建物について、Bのみを申請人として抵当権抹消の登記申請はできない。
前提として、土地と建物にまとめて1つの抵当権が設定されている場合、その抵当権を抹消するときも、土地と建物をまとめて1件の登記として申請することができます。
ただしその場合であっても、申請人が誰であるかは不動産ごとに(土地や建物1つずつ)個別に判断します。
本ケースでは、建物は共有なのでAまたはBのどちらか1人が申請人になれば登記ができますが、土地は単独所有者であるAが必ず申請人になる必要があります。
したがって、AB2人またはAのみを申請人とする登記は可能ですが、Bのみを申請人とする登記はできません。
土地だけを見れば、「所有者が関与しないまま登記をすることはできない」という当然の話なのですが、複数の不動産をまとめて登記する場合は意外と見落としがちですので注意しましょう。
申請書の書き方
抵当権抹消の登記を共有者の1人から申請する場合は、申請書の書き方が通常の場合と少し異なります。
通常の記載方法は、法務局のウェブサイトに記載例が掲載されています。
例えば不動産がAB共有の場合、「権利者」としてAとBを記載しますが、共有者Aのみが申請人となる場合はAの氏名の前に(申請人)と記載します。
〇〇市〇〇町〇〇番地 (申請人)A
〇〇市〇〇町〇〇番地 B
ポイントは、申請人にならないBの住所・氏名も記載することです。
Bの住所・氏名は登記上の記載どおりに記載し、実際の住所や氏名が登記と変わっている場合や、Bが既に死亡している場合も、登記上の記載をそのまま転記します。
また、「申請人兼義務者代理人」には申請人となるAのみを記載し、押印をします。
(抵当権者(銀行等)からの委任状の受任者欄にもAのみを記載します。)
まとめ
以上のとおり、不動産を2人以上で共有している場合には、抵当権抹消の登記申請を共有者の1人から申請することができます。
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